猫のゆりかご
出産後


2008年11月30日(日)

晴れ。強風。
昨日からうちは4人家族。

朝食後、おなかが少し痛くなった私はリビングで横になる。
その間に夫が窓を拭いてくれる。
ピカピカで、窓から見える山並みの眺めはサイコー。ありがとう。

不意に泣けてくる。

神様なんていないと思う。
こんな意地悪をするヒトは神様なんかじゃない。

喪中はがきが届いたと友人からメールが着た。
おといもちゃんのことを報告できるのは、いつになるかな。

当分は、無理かな。

2008年12月1日(月)

晴れ。風なし。

侑和には義父が買ってくれた石楠花がある。
おといもちゃんにも木が欲しいと、ホームセンターへ行く。
クリスマスが近いので、モミの木にした。

お葬式は、友引の今日は行わないことにした。

2008年12月2日(火)

曇り。

以前の職場の上司からクリスマスカード。
送った喪中はがきが届いたからだろう。ありがたい。

2008年12月3日(水)

晴れ。
おといもちゃんのお葬式をする。

モミの木を植えた鉢にお地蔵様のお札と一緒におといもちゃんを埋葬。
お線香をあげる。
家族だけのお葬式。
良いお葬式ができたと思う。

それから、おといもちゃんの木を囲んで家族写真を撮った。

クリスマスの飾り付けもした。
なかなかかわいくできた。

おといもちゃん、喜んでくれてるかな?
喜んでくれてると良いな。


おといもちゃんが入っていた容器は捨てれなくて、そのままお仏壇の侑和の隣に置いておくことにした。


夕方、母からメールを貰った。
流産したことを電話ではうまく伝えられないと思ったから退院後、手紙を書いた。
その手紙が届いたらしい。

おといもちゃん残念だったね。
でも謝らなくていいよ。
あなたが一番悲しいのだから。
最も惨めで最も闇だと思ったときこそがあなたの最も尊く生きたとき。

母のくれたメールの文面に涙した。

2008年12月4日(木)

姉からもメールを貰う。

皆が私のことを心配してくれている。
とてもありがたい。

2008年12月5日(金)

術後診察。M医師で、とお願いする。
子宮は回復傾向。

おといもちゃんの組織を調べたところ、次の妊娠に影響を及ぼすような異常は見られなかったそう。
何を言われるかドキドキしていたので、とりあえず、良かった。

3回生理がくれば、子作りを再開しても良いそう。

次こそは。 早くその日が来てほしい。
怖いけれど、待ち遠しい。

おといもちゃんの初七日。
ずっととっておいたシャブリを開けた。

2008年12月6日(土)

今日は友人Sの結婚式。
名古屋で行われる式に、本当は夫婦で出席するはずだった。
妊娠が分かり、遠出は心配なので、出席の返事をした後に理由は告げずに、やはり行けないと電話で謝った。
結局行ける状態に、身重ではなくなったのだけれど。

夫は泊まりで名古屋に行く。
離れて眠るのは結婚以来初めてのこと。
侑和くんおといもちゃん、お父さんのこと宜しくね。
初めて乗る新幹線、初めて行く名古屋、お父さんと楽しんでおいでね。

2008年12月7日(日)

昨日からヨガを再開。
まだ2日目だけれど、体が軽い気がする。

2008年12月8日(月)

晴れのち雨。

今日もおといもちゃんのモミの木はきれい。
本当は中に入れたいけれど、モミの木は観葉植物じゃないから室内では育てられない。
カーテンは開けておく。
道から中を見られたって構わない。
おといもちゃんを見ていたい。

私はとても幸せ者だ。
「4人家族やね。うれしい」夫に伝えた。
本当に、心からそう思った。

かわいい子ども2人に恵まれて、傍には優しい旦那様が居てくれて、私は本当に幸せ。

2008年12月11日(木)

晴れ。

HPを見て下さった方からメールを頂いた。
「…侑和ちゃんは幸せですね。お腹中にいるときもそして今も、あんなにこんなに愛されて、 そんなにまで愛せる侑和ちゃんを授かったyuwamamaもとっても幸せです。…」
本当に嬉しいメールだった。
涙が出た。

ブログを始めて、HPを作って、良かった。


昨日からまた出血? 薄茶色。
今日も昨日と同じくらい。

子作りは生理が3回くるのを待ってから、と病院で言われたから、今年の冬は遊ぼうと思う。
ボードに行ったり、飲みまくったり。カフェインもいっぱい摂ってやる。

そして、3回きたらすぐにでも子作りに励む。

そのつもりでいた。
でも昨日、
「ルーフボックス買ったら車内で寝れるから、夏、キャンプに行こうか」
夫にそう言われて、それも良いなと思った。

焦ってもいいことないよ、と看護師さんも言っていた。

来年まで私の大殺界は続く。
それが過ぎるのを待ってからのほうが、それに囚われて心配しながら妊娠期を過ごすより 良いような気もする。

もし、また妊娠できたらの話だけれど。

人生、何でも思った通りになるんだと思っていた。
強く願えば、思った通りになるんだと。
ならないこともあるんだね。

でもやっぱり侑和とおといもちゃんに逢えた私は幸せだ。
そう思える自分が好き。
そう思えるのは夫が変わらず傍にいてくれるから。
このことを絶対に忘れてはいけないと思う。

2008年12月12日(金)

出血止まる。

今日はおといもちゃんの二七日なので、夕飯は奮発して握りを頂く。

病院に保険会社に提出する診療報酬計算書を取りに行く。

2008年12月13日(土)

夫と友人と3人でスノーボードへ。
でも雪がなく、結局軽井沢のアウトレットへ。

友人が侑和にクリスマスプレゼントを買ってくれた。

2008年12月14日(日)

雨。
オークションで落札したルーフボックスを取りに行く。
帰りに侑和が入院していたNICUのある病院に寄り道。
日曜は院内に入れず、駐車場に止めた車内でしばらくの間夫と話した。

帰り道は雨があがり、きれいな青空。太陽が眩しかった。
わたあめや富士山みたいな雲が見えた。
きっと侑和が晴らせてくれたんだね。
そしてお絵かきしたんだね。
とってもとっても上手だよ。

2008年12月22日(月)

夫の休みが取れたため、昨日から実家に帰省。
侑和(の骨壷)もおといもちゃん(の入っていた容器)も一緒に連れて帰る。

私のことを心配してくれている祖母に会いたかった。
でも、祖母は叔父夫婦と一緒に暮らしており、 私は叔父夫婦には会いたくなかった。

叔父は昔から何かと嫌味を言ってくる人。
叔母もそんな叔父の奥さんらしい人。
キーホルダーにした侑和の顔写真をいつも持ち歩いていてくれる母に叔母は
「そんなの付けて・・・」と言い放った。


そんなの、って何?

でも、母はその後も
「侑和ちゃん、かわいいかわいいからいつもどこ行くときも付けてるんよ。」と笑って言ってくれる。
母がいてくれなければ私は叔父夫婦の言葉にもっともっと傷つけられていたと思う。
この人の子で良かったと、心からそう思えた。


叔母の職業は看護師。
叔母のような人が担当でなくて良かったと、入院中の恵まれていた環境に感謝した。

叔父夫婦はそんな人たち。
祖母と会いたい気持ちよりも叔父たちにより自分が傷つけられるのではないかという恐怖心が勝った。
それで祖母に会うことは諦め、でもお墓参りには行こうと墓地に行くと、ちょうど祖母がお墓の掃除をしに来ていた。
お互いあまりの偶然に驚いた。
侑和も連れてきていたので、祖母に抱いてもらった。
いきなりのことでかなり動揺していただろうけれど、ちゃんと抱いてくれた。

今日墓地で祖母と会えたことは、もしかしたら偶然じゃなかったのかな。
きっと侑和が会わせてくれたんだね。
侑和もひいおばあちゃんに会いたかったんだね。
ありがとう。 会えて良かったね。 

2008年12月24日(水)

友人Cに会いに行く。
彼女は、侑和を妊娠したと分かったときから出産への不安に関する私のよき相談役であり、 侑和を亡くした直後から私に優しい言葉をかけ続けてくれた人。

彼女には幼稚園児の女の子と2歳の男の子がいる。
彼女と会うということはその子どもたちとも会わなければいけないということ。
会う前は自分が正気でいられるか不安だったけれど、会ってみれば平気だった。
とてもかわいいと感じられた。
侑和とは年齢が違うからという理由かも知れないけれど。

侑和を亡くしてからCと会うのは初めてのこと。
侑和の写真を見てもらおうとたくさん持って行った。
100枚近くあったかもしれないそれらの写真を彼女はすべて見てくれた。
嬉しかった。

2008年12月25日(木)

日付が変わった頃、実家から自宅に戻る。

夜は義両親たちとクリスマス会。
モミの木は観葉植物ではないので室内では育てられない。
けれど数日間だけなら大丈夫だというので今朝、リビングに運び入れた。

2009年1月6日(木)

おといもちゃんには戸籍がない。
侑和はお寺さんでお経をあげてもらったけれど、おといもちゃんはしてもらっていない。
おといもちゃんにも何かしてあげたいと考えていたところ、夫がお洋服を買ってあげようと提案してくれる。
お経を読んでもらうことだけが供養じゃない、自分たちの気のすむようにすればいいんだからと。
大賛成して侑和のお洋服を買ったのと同じ combi に見に行く。

おといもちゃん、本当の性別は分からないけれど女の子だった気がする。
夫も私も。
それで、女の子っぽいデザインのものが良いなと思いついたさくらんぼプリントのお洋服を探したけれどなく、 あひるさんのデザインのものにした。
これでおといもちゃんのカラーとトレードマークは、黄色とあひるさんに決定。

GAPを覗くとあひるさんのおもちゃが売っていた。
不良品ということで激安。
でもおなかを押すとちゃんと鳴くし、ほつれたりしているところはどこにも見受けられない。
お店の人にも聞いたけれど、どこが悪いんでしょうねぇ、だって。
これは絶対買わなくちゃと、購入。
おといもちゃんに初めてのおもちゃも買ってあげれた。
良かった。

2009年1月18日(日)

16日は侑和の8回目の月命日であり、おといもちゃんの四十九日だった。
その日はきちんとできなかったから今日、改めて家族でシャンパンを開けて、手作りピザで食事をした。
シャンパン(ポメリー)は高かったけれど、
「侑和とおといもちゃんの日だからなあ」
と夫がお小遣いで買ってくれた。

いつも、私と一緒にこういったことをきちんとしてくれる夫に感謝。

2009年3月8日(日)

おといもちゃんの100か日。

シャンパン(ガルデ・ブリュット)を開ける。

2009年3月29日(日)

おといもちゃんの4ヶ月目のお誕生日。

魚屋さんで金目鯛を丸ごと一匹購入、お造りで食べる。

2009年4月11日(土)

おといもちゃんにぴったりな、あひるさんプリントの布地を見つけたので購入。

2009年4月23日(木)

おといもちゃんの入っていた容器はずっと、病院から連れて帰ってきたときのまま ガーゼに包んだままだったので、先日購入したあひるさんプリントの布地でカバーを作ることにする。
なかなか難しい。。。

2009年4月25日(土)

何度もやり直しつつ、一昨日と今日の2日かけておといもちゃんのカバー完成!
難しかったー。

2009年4月27日(月)

お地蔵様が汚れていたのでお掃除をさせてもらう。

2009年4月29日(水)

ゴールデンウィーク。
実家に帰省中、父と初めて侑和とおといもちゃんのことについて話す。
父とは今まで何となく子どもたちの話をしづらかったんだけれど、話してみると何のわだかまりもなく自然に話せた。

父も心配してくれている。
ただ、口下手なだけ。愛情を表現するのが苦手な人なのだ。
話せてよかった。それが分かって本当に良かった。

今回も連れて帰っていた侑和(の遺骨)とおといもちゃん(の入っていた容器)を父に初めて抱いてもらう。

2009年5月14日(木)

友人Kが侑和への誕生日プレゼントを持って来てくれる。
突然のことでびっくりしたけれど、本当に嬉しかった。

「侑和がお兄ちゃんになれるのはいつだろうね。」
彼女が言った。

侑和はもうお兄ちゃんなんだよ。
初めて家族以外に流産したことを話した。
その子の記念樹がモミの木だってことも、名前がおといもちゃんだってことも。

「だから仏壇にモミの木の写真があったんだね。ずっとずっと苦しかったね。 なのに何も気づいてあげられなくてごめんね。なんでなんだろうね。 子供たちが良い子でかわいすぎて、神様が手放したくなかったのかな。」
そう言って彼女は私と一緒に泣いてくれた。

「でもきっと、2人は帰ってきてくれるよ。そう信じて逢えるのを待ってる。」
強く言ってくれた。

彼女におといもちゃんを紹介できて良かった。

2009年5月15日(金)

友人Yが侑和の誕生日を祝いに来てくれる。

侑和が生まれた2週間後、彼の子どもが生まれた。
今まで私たちは彼の赤ちゃんのことを聞かなかったし、彼も自ら話さないでいてくれた。

でも、今日は少し、ほんの少しだけれどその子のことを尋ねることができた。

元気? 病気してない? もう歩くの? 話すの?

1才の子どもは一体どういう風なのか、知りたかった。

彼は教えてくれた。
決してのろけるでなく、私たちに説明してくれた。

まだ彼の赤ちゃんに会う勇気はない。
会ったら絶対泣いてしまうと思うから。
今はまだ。

でも、いつかきっと、会いたい。


「侑和がお兄ちゃんになれるのはいつかなー。」
昨日Kが言ったのと同じ台詞がYの口から飛びだした。

昨日と同じように、私は彼に伝えた。
侑和はもうお兄ちゃんなんだよ、と。

でも、昨日と同じようには、おといもちゃんのことをきちんとは紹介できなかった。
彼はびっくりして、そのまま声を失って、そして会話は違う話題へと流れた。

近い将来、彼にもおといもちゃんのことをきちんと紹介したい。

2009年5月30日〜6月6日(土)

大学時代の友人Rが遊びに来てくれた。
侑和を喪って以来、初めての再会。

我が家に着いてすぐ、たくさんのおもちゃに囲まれたお仏壇を見て「かわいー!」と叫んでくれた。
でしょー!と笑顔になれた。

今までメールでしか侑和のことを伝えていなかったけれど、夫の帰りが遅かった夜、 お酒を飲みながら侑和の話を聞いてもらった。
出産のときどれだけ幸せを感じたか、その後すぐにどんなことがあったか、自分の子供がどれほどかわいいか、 嬉しかったことも悲しかったこともいっぱいいっぱい聞いてもらった。
そしていっぱいいっぱい、一緒に泣いてくれた。

おといもちゃんのこともきちんと紹介した。
紹介できて良かった。


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